「横山光輝の世界」の掲示板を久しぶりに見てみたら、飛び上がりたくなるような嬉しい記事がありました。
今年の11月に「鉄人28号」の完全版が出るというのですよ!。
出版社は意外にも潮出版社。(「三国志」「水滸伝」「項羽と劉邦」とかの出版社です。)
私は「鉄人28号」の後半時期をリアルタイムに楽しんでいた世代で、「鉄人28号」が連載されていた「少年」はたまに買ってもらっていましたし、光文社のカッパコミクスの「鉄人28号」も毎月買ってもらっていました。光文社カッパコミクス版は楽しみで楽しみで仕方がなかったですね。
その頃、男の子の好きな漫画と言えば、「鉄人28号」と「鉄腕アトム」が二大勢力だったのですが、私は横山光輝という漫画家のストーリ展開のスピード感と絵の端正さが大好きで「鉄人28号」しか眼中にありませんでした。今でも「鉄腕アトム」は一冊も持っていませんが、「鉄人28号」はいろいろと手に入れています。(といってもそんなにバリエーションがあるわけではないのですが。)
ちなみに、そのカッパコミクス版は今持っていればレア物のはずなのですが、その頃は落書きしたり切り取ったりしてしまって、今は跡形も無く何も残っていません。まったくもって惜しいことをしたものです。余談ですが、トヨタ博物館には、そのカッパコミクス版「鉄人28号」「鉄腕アトム」が全巻飾られているのですよね。私はクルマよりもそちらを見るのがメインだったりします。

私が持っている「鉄人28号」の中のひとつは、オーソドックスな秋田書店のサンデーコミックス版。これは、中学生の時に買った初版本と社会人になってから買った再販版と2セット持っていたりします。(なぜだか第3巻だけは3冊もあったりします。)
でも、この秋田書店版は、光文社カッパコミクスで読み切りになったものをそのまま掲載しており、「少年」に掲載されたすべての話が掲載されているわけではないのです。
光文社カッパコミクスで予告に出たものの、結局発刊されなかった「バッカスの巻」も当然掲載されていないのです。テレビで有名になったロビーの話も無いのです。バッカスやロビーと言えば鉄人ロボットの中でも、代表的なロボットなのに、です。カッパコミクス版(=秋田書店版)では、バッカスもロビーもすぐに破壊されてしまっていて、子供ながらに不思議に思ったものです。
大学生の頃、大都社から「少年」の初期の頃の「鉄人28号」が本になったのですが、その時には、そういう事情を何もしらず、初期の「鉄人28号」は絵のタッチも違っていて別物と思って買いませんでした。ハードカバー版で値段が高かったということもあります。でも、それを買わなかったことを今、とても後悔しているんですよね。今持っていたらきれいな状態で手元にあったと思います。ヤフオクで出ていても痛みは激しいし価格も高い。そういうのは無理に手に入れる気にもなれませんしね。

その後に出たのが、光文社から出た文庫本「鉄人28号」と「続・鉄人28号」。
これには期待が大きかったわけですが、秋田書店版に掲載されている部分があとで「続」で出たりとどうもちぐはぐなものだったのです。絵もコピーから再現されたもので、けして美しいと言えるものではありませんでしたし、すべての作品を順番に読もうと思うと読む巻の順番を考えなくてはいけないややこしいシロモノになってしまっていました。ただ、大都社版に比べると初期の部分は完全な形に近いものではあったので、それなりに価値はあったわけですが。
もともと「少年」という本では、本誌(3×4コマ)に少し掲載されて、大部分は小さい別冊付録本(2×3コマ)に掲載という形でしたので、「鉄人28号」のストーリ自体が物語によって完結していたわけではなく、前の物語で布石を打ちながら次の物語に続いていくという区切りのない構成でした。そういう作品をひとつの読み切りにまとめるには、いろいろとコマ調整やストーリの区切りに手を入れざるをえないというところも致し方ないところではありました。
そういう事で、「鉄人28号」という漫画は一世を風靡しながら、「少年」に連載されていたままの形で刊行されたことが過去に一度もなかったわけです。
ですので、「鉄人28号」をこよなく愛する私は、この完全版の刊行をずっと待ち望んでいたのです。
それが今年出るんです!
毎月発行の全24巻(1巻320ページ?330ページ)、B6版だそうです。
重複している部分もあるとはいえ、光文社文庫版25巻(1巻260ページ?300ページ)と秋田書店版10巻(1巻230ページ程度しかも3×4コマに編纂)の内容が、ページ数でみても24巻で大丈夫なのか不安なところはありますが、今度こそ「鉄人28号」の完全版を大いに期待したいものです。
こういうのが出るとわかった時というのは、「生きていて良かった?」と素直に思いましたよ、ホントに。(それほどのもんかい!)